南の小言

100年健康を作るPTの日常

SLPの4つ目の事項

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この画像を見ると今後の日本が心底心配になります。この通りに進んでしまうと、2070年に至る前に日本は崩壊するでしょう。

 

2070年には2.6人に1人が高齢者、出生数が約半数まで大幅減少、生産年齢人口割合減少、しかし平均寿命が延び続ける…

 

抜本的な対策が講じられ続けない限り、恐ろしい世の中になることは避けられません。

このような未来が見えている状況で子供を産みたいとは到底考えられないですよね。

負の連鎖、悪循環が立て続けに起こっている状況です。

 

 

そんな中でこんな面白い研究結果を見つけました。生きがいを持つことの大切さに関しては4/30のブログでも触れさせて頂きました。ペット飼育者と非飼育者で月額の介護費にここまで差があるそうです。ペットという家族の存在が、大きな生きがいとなっているということですね。

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私自身、幼いころから強い小児喘息を患っており、通院が日課のような日々を送ってきました。主治医には将来激しいスポーツができるようになることは難しいと言われ、一度体調を崩すと1~2週間幼稚園や小学校を休むことが当たり前の生活でした。そんな中、ご縁があって始めることになったバスケットボール。最初は少し走るだけで喘鳴が強くなり発作が起きていましたが、いつしかそれが趣味となり、気が付けば喘息の発作が起こることはほぼ無くなっていました。バスケットボールが私の人生を変えたと言っても過言ではありません。それだけ趣味、生きがいには絶大なパワーがあります。

 

私は訪問リハビリの初回介入時に必ず「何か趣味はありますか?」と聞くようにしています。大半の利用者さんには趣味がありません。そこで、リハビリと並行して一緒に趣味探しを実施していきます。趣味の存在が必ず人生やリハビリのモチベーションになるからです。自身の経験に加え、統計上でも趣味や生きがいと健康寿命には大きな相関があることが分かっています。

 

今までの記事で、医療費削減や健康寿命延長の観点から運動の重要性を常々語ってきましたが、趣味や生きがいの獲得も同程度に重要です。

 

2018年の「未来投資戦略」の中に、健康寿命の延長も重要施策の一つとして掲げられています。同時に、厚生労働省は【SLP(スマート・ライフ・プロジェクト)】というものを開始しました。人生の最後まで元気に健康で楽しく毎日を送れることを目標に、国民の健康作りをサポートする取り組みです。

 

その中で重要視している分野が3つあります。それは【運動】【食生活】【禁煙】です。私は4つ目の重要分野として【趣味や生きがいの獲得】を導入すべきであると考えています。正直、上記の3つが大切だということは社会通念上当たり前な事だと思っています。ただ、趣味や生きがいの獲得が健康寿命延長に関わることはほとんど知られていません。

 

医療従事者や国民の健康に関与する者は知っておくべき事項です。

 

何のために運動するのか、何のために健康に気を遣うのか、単に病気を予防する為という考えではなかなか積極的に取り組むことはできません。大切な事ではありますが、動機としては弱い印象です。趣味や生きがいを持ち「〇〇ができなくなったら困るから運動する」「〇〇(ペット)が死ぬまでは私は元気でいなくてはいけない」といった強い動機が士気を高め、健康寿命延長に繋がるのです。

 

フィットネスジムの会員さんの場合、目標が曖昧な方や士気が低い方は満足感を感じにくい傾向にあるので、趣味探しを一緒に行いモチベーションアップを図っている事が重要です。

 

人生100年時代。100年健康にいる為にも最期まで趣味や生きがいを持ち続けましょう。