今月6日の夕方に仙洞御所で転倒され、7日に「右大腿骨上部骨折」診断された上皇后さま。8日早朝、東大病院にて手術に臨まれました。上皇后さまは現在89歳(今月90歳)であり、日課は散歩ということで穏やかに過ごされていたようです。多少不安定ながらも独歩で歩行ができるほどの足腰をお持ちでしたので、今後がとても心配です。恐らく腕利のPT OTが担当することになるとは思いますが、お歳の影響もあるのでどの程度回復するのか。元の状態まで回復することを祈っております。
加齢=転倒と言っても過言ではないほど、歳と共に転倒リスクが高まります。
転倒による悪循環の例として、以下ようなものがあります。
①転倒→外傷→身体機能低下→活動量低下→生活機能低下→転倒
②転倒→自信喪失→転倒恐怖→活動量低下→生活機能低下→転倒
どちらも転倒により尚更転倒しやすくなるという悪循環を示しています。
転倒にも理由はたくさんありますので、その人の状態に応じた介入が必要になります。もちろん筋力があるに越したことはありませんが、いくら筋力があっても転倒を繰り返す人はたくさんいます。訪問リハビリの場でも、そういったケースがたくさんあります。
内科的問題や薬の影響でふらつく人、自宅内の環境不良によりふらつく人、痛みによりふらつく人、神経系の問題(神経難病やや外科的問題)によりふらつく人など理由は様々。パーキンソン病であれば姿勢反射障害が出現するため、いくら筋力トレーニングを実施してもふらつきの際に足が出ません。別のリハビリが必要になります。自宅内にカーペットがたくさん敷いてある人は、そのめくれに引っかかって転倒することもよくあります。起立性低血圧を持っている人は、急な起立でめまいを生じ、転倒することがあります。もちろん筋力があることで耐えることができる場合もあります。
【転倒=筋力が足りない】というのは半分正解で半分間違っている気がします。というよりは筋力+α(個別要素)という考え方が理想的な気がします。
PTやトレーナーは、対象者からよく転倒するという訴えがあった時、必ずその内容を深掘りしましょう。
経験上、筋トレのみで解決出来るものはあまり無いと思います。