南の小言

100年健康を作るPTの日常

利用者さんからの学び

リハビリ中利用者さんが自身の通っているデイサービスについてこんな事を話していました。

 

「デイサービスでは私の状態や気持ちを無視してリハビリを次のステップに進めようとする。起立練習をすると足の緊張が高くなるって伝えているのに起立練習を何度もしようとする」

 

 

実はこういったケースはよく発生しており、簡単にいうと理学療法士作業療法士の【自己満】が横行しています。

 

本人の状態(身体面)や気持ち(精神面)を考慮せずどんどんADL拡大を図ったり、起立練習や歩行練習を自分のペースで行ったりするセラピストは結構います。こういった人は特に勉強熱心な人に多い印象です。学んだ事を使ってみたいという気持ちと実際に効果があるかの評価をしたいという気持ちが先走り、本人にとって逆に有害な内容のリハビリを提供してしまう事があります。

 

今回のケースで言うと、この方は起立練習を行うとその日は下肢の緊張が高くなりADLに支障が出てしまう方でした。しかしこの方に対し、段階を踏まずに積極的な起立練習を処方。その結果、リハビリ中の起立練習の質は向上したもの、ADLの質やQOLが低下すると言う本末転倒の結果を招いています。

 

リハビリ中のレベルだけが向上している状況は完全にセラピストの自己満以外のなにものでもありません。

 

この方は続けてこう話しました。

 

「普通だったら1できたら次は2という形で進めればいいかもしれないが、私の身体はそんな単純には良くならない。だから、1ができたら1.1、1.1ができたら1.2のように小数点がたくさん必要です。ですが、1ができたら2というように進める人が多すぎます」

 

私自身にも思い当たる節があり、認識の甘さを実感しました。

 

リハビリ中のレベルだけが向上することに何の意味があるのか、ADLの質やQOLの向上に繋がらないリハビリになんの意味があるのか、非常に考えさせられる話でした。

 

学んだ知識や技術を使ってみることは悪い事ではありませんが、利用者さんは実験台ではありません。その効果が日常生活に生かされなくては意味がありませんし、在宅リハビリでは特にその点が求められます。

 

本人の身体状況や精神状況、目標等を筆頭にあらゆる側面から最適なリハビリプログラムを立案出来るようになる必要があります。

 

自己満リハビリを根絶しなくてはいけません。