南の小言

100年健康を作るPTの日常

カルテが大切

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病院ではカルテ作成が当たり前。医師からどのような診断を受け、看護師からどのようなケアを受け、薬剤師からどのような薬が処方され、療法士がどのようなリハビリを実施したかは全て記録されています。このカルテが次同じ患者さんを診るときに参考になります。

 

しかしフィットネス界隈では、病院で言うカルテのような経過を記録している事は少なく、頭の中に【記憶】として記録しているケースが多い印象です。パーソナルジムの場合はある程度記録していることもありますが、対象者が多ければ多いほど【記録に残す】という行為は蔑ろにされがちです。

 

単純にダイエットを売りにしているジムや24時間ジムであれば、この点についてそこまで拘る必要は無いと思っていますが、スモールジムのようなメディカルの要素を取り入れているジムであれば、【記録に残す】という行為を徹底していく必要があると思います。

 

例えば「〇年前に○○発症し治療中」「〇〇を実施した際、ネガティブ発言あり」「○○の動きをしたときに○○に疼痛出現。○○を指導した」「○○の動きをしたときに○○の代償出現」等等どのような内容でも良いと思いますが、記憶ではなく形に残る記録をすることが、どこかで生じた問題を解決する際のヒントになると思います。

 

病院勤務時代、整形外科疾患の担当患者さんのリハビリ中に、「2日前に別の人とリハビリをしてから足が痛い」と話されたことがありました。そこで私はカルテを二日前に遡り、誰がどのようなリハビリを実施したかの確認をしました。そこで私が実施していないリハビリメニューがいくつかあったので、本人とその時のスタッフと3人で集まり、どの運動で痛みが出たのかの議論を行うことで、原因を突き止めることができました。

 

これは【記録に残す】ことで問題の解決に至った事例です。

 

スモールジムでは基本的にトレーナーは一人であることが多い為、情報を共有するという事はそもそも存在しないかもしれません。ですが、こまめに記録に残し、適宜その内容を会員さんにフィードバックすることで満足度を向上させることが出来ると思います。入会される会員さんにはそれぞれ目標があると思いますし(無ければ一緒に作る必要があります)、その目標までのプロセスを記録することは、会員さんにとっては目標までの練達度の確認にもなります。また、どこかで不測の事態が生じた際に記録を遡ることで原因の追究を行うことが出来ます。

 

100人モデルのジムであり、高い質で全員の記録を残すことは流石に負担が大きすぎると思いますが、まずはその日の気付いた点から記録に残し、少しずつ記録の質を高めていくことで、【予後予測】【リスク管理】【満足度向上】の3つが叶い、結果的に【ジムの質向上】に繋がると思っています。

 

【記録に残す】という行為は、簡単には目に見える結果が出るものではありません。

 

ですが、長い目で見たときに間接的な効果は大いに期待できます。

 

まず、簡単に記録に残す習慣を付けていきましょう。