南の小言

100年健康を作るPTの日常

精神疾患患者から学ぶ

f:id:going373:20230902184523j:image

昨晩、提携しているグループホームのお手伝いに行ってきました。精神疾患患者のためのグループホームであり、そこでは各々が社会復帰を目指して日々努力をしています。社会復帰の形は人それぞれ。一般の人と同じ様な社会に戻ることも社会復帰。一般の人と同じまでとは行かずとも、自立して1人で生活を送ることも社会復帰です。

 

精神疾患患者さんの社会復帰までの道のりは、想像を絶するほど過酷だということを知りました。

 

とある入居者さんと1時間半ほどお話をしました。彼は一般の人と同様の社会への復帰を目指す方。怒りや苦しみといった感情のコントロールが上手くできず、すぐに口争に発展してしまいます。しかし、このグループホームに入居してから見違えるほど変わった様子。感情を抑えられる様になり物事を段階的に考察することが出来るようになりました。そんな中、とある事件が発生。就労先で彼に対して差別的な対応をする職員がいたそう。感情を抑える事で暫くは対応出来ていましたが、昨日の就労時に我慢が限界に達し爆発してしまった様子。

「僕は早く社会復帰したくて頑張っているのにどうして上手くいかないんだろう」

と涙ながらに語ってくれました。

 

身体的な病だろうが心の病だろうが一番苦しい思いをしているのは本人。彼は少しでもその病を治す為に日々闘っています。減薬にも取り掛かり、一般社会に溶け込む為にとにかく行動しています。日々の葛藤や熱い想いの数々、私には学ぶものが多すぎました。

 

どんな会社にも嫌な上司や変わった同僚等馬の合わない人は存在します。私たちは腹を立てながらもスルーする事でなんとか対応しますが、物事を深く考えてしまう彼らにとっては、それは簡単にはスルーできない重大な問題です。言葉一つ一つが胸に突き刺さり、大きな傷を負います。

 

彼らも【スルースキル】を習得できる様に努力していますが、私たちも不用意な発言にはもっと注意を払うべきです。共生社会を目指す為には、双方が理解を示し行動していく必要があります。障害を持つ方だけが努力するのは筋違い。それは共生社会とは言えません。ましてや障害を持つ方を迎え入れている就労支援センターであれば尚更です。

 

障害を持つ方々に対する考え方や接し方を学ぶ良い機会となりました。今後も定期的にお手伝いに行くことになりますが、この機会を大切にしていきたいです。

 

私自身、精神疾患患者の対応は好きですが、PTは法律上精神疾患患者への訪問リハビリは提供できません。OTしかできません。その点が非常に残念でなりません。

 

ストレス社会において益々増加している精神疾患患者。興味深い分野ではある為、この機会を臨床にも活かしていきたいです。