南の小言

100年健康を作るPTの日常

モビリティ関節を大切に

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人間の身体は200個以上の骨で構成されており、約260個の関節があると言われています。

 

その中でも大きな関節は上記の図のように「スタビリティ関節」と「モビリティ関節」に分けられます。「スタビリティ関節」は固定(安定性)を司る関節。「モビリティ関節」は動きを司る関節であり、人間の関節に交互に存在します。

 

もちろんどちらの関節も重要ですが、身体の痛みはモビリティ関節の不具合によってスタビリティ関節に生じることが多いです。

 

膝関節に痛みを訴える人は多くいますが、案外と痛みの原因は股関節や足関節にあったりします。膝関節は純粋な屈伸がメイン動作であり、回旋力は持っていません。しかし股関節や足関節の不具合により動作不良や可動域制限が生じると膝関節に剪断的ストレスが生じてしまい、結果膝痛が出現するというケースは往々にして存在します。

 

こういった症例に膝関節周囲のマッサージやモビライゼーションを実施しても徐痛は一時的です。逆に膝関節を触れなくとも股関節や足関節の柔軟性を向上させるだけで痛みが消失することもあります。

 

モビリティ関節の柔軟性や機能性を高めて損はありません。「膝痛にはまず大腿四頭筋の筋トレ!」なんていうPTもいますが、それは非常に浅はかな解答です。

 

痛みを訴える人がいた場合「まず痛みの箇所周囲を評価」というのは間違いではありませんが、その次は隣接している別関節の柔軟性や筋出力を評価する必要があります。

 

特に高齢者は足関節背屈(主に下腿三頭筋)が硬く、別関節で代償しているケースが非常に多いです。

 

人の身体を診る際は、痛みの箇所だけを見るのではなく、隣接している関節やその他の関節、筋にまで目を向ける事が大切です。