南の小言

100年健康を作るPTの日常

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最近、私のブログではPTの未来について語ることが多くなっています。供給が需要を大きく上回ってしまう問題やPTが急増したにも関わらず健康寿命が不変である問題等多くの問題を取り上げてきました。

 

ここでは健康寿命の不変問題について深堀していきます。

 

まず大前提として健康寿命に寄与しているのはPTだけではないという点ですね。PTが結果を出せていないから健康寿命が延びていない、PTのおかげで健康寿命が延びた等という考え方はそもそもお門違いです。今と昔を比較した時、変化が起きている点はPTの数だけでしょうか。違いますよね。

 

昭和中期から現在にかけて日本に起こっているマイナスな変化を列挙していきます。

・糖尿病を中心に生活習慣病患者が急増している。

・精神科(うつ病統合失調症)にかかる患者数が15年で1.6倍に増加している。

・1日の平均歩数が男女とも年々減少している。

日本食文化から欧米に近いファストフード文化へと転換しており、それに伴い必要な栄養素を摂取できていない人の割合が増加している。

・薬物の常用化が進んでいる。

 

こういった要素は、健康寿命を縮める方向に強く働いています。医療の発達により癌患者の死亡率は減少していますが、完治することは稀であり、癌患者自体は年々増加しています。これは癌以外にも言える事であり、薬物療法により進行を抑えたり弱化させたりということは叶っていますが、罹患率自体は脳卒中以外は減少していません。

 

様々なサプリメントや健康食品が世に出回ったり、24時間ジムやシニア向けジム等も拡大しており、健康への意識が年々強まってはいますが、健康寿命の延長には至っていません。それだけ健康寿命を延ばすことは容易ではなく、非常に難しい問題です。

 

そう考えると、プラスの側面とマイナスの側面が併存している中、PTの介入は健康寿命短縮の抑制に寄与しているともとれます。

 

PTの介入は税金が財源である為、否定的に捉えられやすく、是正対象になりやすいですが、病院や施設からPTの活躍の場が奪われてしまうと、健康寿命は短縮してしまうのではないかと考えています。その為、無駄なリハビリや本人や家族の意思に沿わないリハビリは是正すべきですが、一括りにPTは不必要と唱えることはあまりにも安易な考えだと思います。

 

ただ、医療費が爆増している事実がある以上はPTの無駄部分を削っていく必要があります。医療従事者は、自分の給料にも患者さんの治療費にも税金が大きく関与していることを忘れてはいけません。医療従事者の需要が増し、仕事が増えれば増えるほど、社会保険料増加の可能性も示唆されることは理解しておく必要があります。

 

今後PTは活躍の場を拡大させることが必須となりますね。

 

介護分野でのPTの活躍場は間違いなく縮小していくでしょう。高齢化に伴い介護士の需要が増し、PTと介護士が同じものとして扱われてしまう可能性もあります。これが先日取り上げた【介護療法士】ですね。

 

もっと予防的な部分に尽力しなければ、健康寿命延長及び医療費削減には貢献できません。PTという資格で仕事をするというより、PTの知識を活かして病院や施設以外で仕事をする。介護状態となるもっと手前の段階でスキルを活かすことが重要になってきます。

 

法改正や制度に左右されないような仕組み作りをしていきましょう。