南の小言

100年健康を作るPTの日常

身体認知の歪み

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トレーナーの方々は会員さんの【身体認知の歪み】を大切にしていますか?

 

人間は脳にある身体マップによって自身の体を把握していると言われています。これは身体図式(ボディスキーマ)とも呼ばれ、人間は目を瞑っていても自分の筋肉や関節がどこにあり、どんな姿勢なのかを把握する事ができるようになっています。姿勢を変えると脳が姿勢の変化に気付き、適切な筋肉に【自動的】に収縮(スイッチ)が入る事で、元の状態に戻ります。

 

ただ、不良姿勢を続けると身体認知が歪み、身体図式が狂ってきます。そうすると意識しなくては元の状態に戻らなくなります。つまり自分が正常な姿勢だと思っていても実際は正常ではない状態に陥ります。

 

本日リハビリを行った重度関節リウマチの方。「まっすぐ立ってください」と伝え、本人の思うまっすぐな姿勢をとってもらいましたが、完全に上半身は後方に位置していました。そこで私が身体をまっすぐに修正し、感想を聞くと「前屈みで腰が引けているように感じます」と答えました。

 

まさに身体認知の歪みです。本人にとってのまっすぐが実は後方重心状態。そうなると当然後方への転倒リスクが高くなります。本人はまっすぐの【つもり】ですからね。長年の不良姿勢から脳が間違った姿勢をまっすぐと認識、記憶してしまった状態です。

 

この身体認知の歪みを取り除かなければ転倒リスクは減少しませんし、痛みもとれません。

 

身体認知の歪みを修正し、適切な状態の時に適切な筋肉にスイッチが入るような状態を作らなくては行けません。

 

これは高齢者だけにみられる問題ではありません。不良姿勢が当たり前である現代人の大半が身体認知に歪みが生じています。

 

まずは視覚的フィードバック(スマホで写真を撮る等)を実施して本人に気付いてもらう必要があります。そして徐々に修正を図り、歪みを解消する。そうすれば姿勢改善が効率良く進みます。

 

筋肉や関節単体に目を向けることも大切ですが、【脳】にも少しずつ目を向ける事ができれば効果的レッスンを進める事ができます。

 

いまいち効果成果が見られないときは、是非【脳】にまで視野を広げてみましょう。