南の小言

100年健康を作るPTの日常

老人延命ビジネス

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分厚い雲に覆われた石川県。気温は30℃を下回り、久々に涼しいと感じる一日でした。今年は暖冬傾向だということなので、異常気温だった夏を乗り越えた分、気持ちの良い冬を期待したいですね。

 

現在話題になっているのが【老人延命ビジネス】というもの。読んで字の如く、高齢者の延命治療を行う事で病院側が儲けようというビジネスです。延命治療は一月に約100万円かかるそうです。しかし、高額医療費制度を利用すると月の自己負担額は2.5万円程度に抑える事ができます(所得制限やその他ルールはありますし、医療費以外の費用は掛かります)

良いシステムに感じるかもしれませんが、97.5万円は健康保険、つまり税金から補填されています。必要以上に延命治療を続ける事で病院が儲かるというビジネスが完成しています。美化して伝えると【最善を尽くす】というのが日本の医療です。

日本は寝たきり老人が諸外国に比べて圧倒的に多く、それに漬け込み物言わぬ老人を健康保険制度を利用してマネタイズ、換金しています。

延命治療問題は一昔前から言われ続けています。高齢者の95%は延命治療を望んでいないと言われており、現在は尊厳死宣言書を事前に記入する事で必要以上の治療を行わないという方法も出てきました。しかし、それでも不要な延命治療が横行しているそうです。

 

では【必要以上の治療】とはどこからを指すのでしょうか。そもそもどこからが延命治療なのでしょうか。その点があまり明確ではありません。

治療中に亡くなって病院側がご遺族に訴えられるケースも少なくはなく、その境界線が明確ではない限り、病院側も簡単には治療を中止できないという現状。

 

延命治療は本人にとっては【生きている】のではなく【生かされている】状態。延命治療を受けている人は私たちには想像がつかない程苦しい思いをしているそうです。もちろんそれはご家族も理解してます。ですが、治療中止=死である為、簡単には治療の中止を宣言できません。非常に難しい問題です。

 

延命治療問題が大きくなっている中、問題解決に向けた基盤となる制度が固まっていない為、安楽死制度や尊厳死への取り組みがあまり進んでいない日本。この問題は簡単には解決できる訳ではない難しい問題です。しかし、それをビジネスに転嫁してボロ儲けを図る姿勢は人徳に欠けます。

 

【老人延命ビジネス】という聞くだけで胸糞悪いビジネスは是正すべきですが、それが難しい現状。「延命治療は自費で行え」もいう意見も増えていますが、通常治療と延命治療の境界線が明瞭ではないうちはそれも難しいでしょう。

 

課題だらけのこの問題。

 

私たちだけでどうこうできる問題ではありませんが、制度の穴を突くような人間にはなりたくないと常々思います。