南の小言

100年健康を作るPTの日常

インナーにスイッチを入れる事は難しい

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私がメディカルサポートやセミナー講師を行う際に口癖のように言うこと。それは【インナーマッスルを利かせてアウターマッスルの負担を減らそう】という話です。筋肥大に特化したムキムキな体を目指す時以外はインナーマッスルへのアプローチが基本です。インナーマッスルが利かないから不良姿勢になり、インナーマッスルが効かないから身体に痛みが発生する。これはトレーナーや治療家であれば皆が知っている話です。

 

しかし、治療家でもありトレーニングもしている私が思うことは【インナーマッスルに利かせることは簡単ではない】ということです。例えば三角筋(アウターマッスル)が優位になっている為ローテーターカフ(インナーマッスル)が優位になるようにトレーニングをすることになったとします。

長い年月を掛けてアウターマッスル優位となった身体にインナースイッチを促しても機能しません。既に筋の誤作動を起こしており、スイッチの切り替えが上手く出来ない身体になっているからです。

 

このスイッチを正常に稼働させるには時間と正確なトレーニングが必要です。

 

この問題の難しいところは、正しい姿勢でトレーニングを実施したからといって標的インナーマッスルに正しく収縮が入っているとは限らないということです。

 

人間は【上手に代償する】生き物です。一般的には代償は悪という風に捉えて間違いは無いですが、麻痺がある方や身体機能の低下が著しい高齢者に対して、逆に代償動作の獲得を促すこともしばしばあります。代償は完全に悪という訳でもなく、代償動作の獲得によりADLが拡大するケースがあることも事実です。しかしそれは、高齢者や残存機能の回復に限界がある人に限ります。特に若い人は代償により筋にアンバランスが生じ、結果的に痛みや不良姿勢に繋がります。ですが、自分の身体が代償動作で成り立っていることに本人は気付きません。その為、時間をかけて徐々に悪化していきます。

 

ここで活躍するのはトレーナーです。

レーニングや筋肉に詳しいトレーナーは沢山いますが、そのトレーニングによって発生する代償動作やその綻びにより発生すると痛みを正確に評価できる人はほとんどいません。その点は今後のトレーナーに求められる知識、技術だと思っています。また、インナーマッスルにスイッチが正確に入っているかどうかも評価できる必要があります。自分ではなかなか分かりにくい部分、気付けない部分こそトレーナーはいち早く気付き、修正を促す必要があります。

 

難しいことではありますが経験と知識を培っていきましょう。