南の小言

100年健康を作るPTの日常

認知症は改善できる

こちらは認知症改善及び進行予防目的で週1回60分の訪問リハビリを実施している利用者さんのリハビリの様子です。(本人許可済み)

 

彼女は脳梗塞により脳血管性認知症を患い、70歳代前半から物忘れに悩んでいました。家族の「これ以上進行して欲しくない」という願いから訪問リハビリを開始。運動療法はデイサービスにて実施できていることから脳力トレーニングを実施することにしました。

 

認知症認知症予防に効果的だと謳われている脳トレ。最近ではたくさんのゲームや本が出回っており、デイサービスや自宅で実施している高齢者も多いと思います。しかし、実は脳トレの効果は科学的、医学的に証明されていません。もちろん実施しないよりはした方が良いですが、ただ闇雲に問題を解いていても効果は出ません。なぜなら認知症は人によって症状や衰えている部分が異なるからです。

 

まず認知症には大きく分けて4種類あります。大半を占めるアルツハイマー認知症、脳血管障害に付随して発症する脳血管性認知症パーキンソン病などに付随して発症するレビー小体型認知症、マイナーですが人格変化の起こる前頭側頭型認知症(通称ピック病)

 

原因不明の部分も多いですが、4つそれぞれ異なる原因と症状が出現します。まずこの時点で治療法(リハビリ方法)が同じな訳がありません。定番のアルツハイマー認知症でさえ症状は様々です。その為、どの力が低下しておりどの力が残存しているかの評価が必須です。計算問題が得意な認知症患者に計算プリントをひたすら解かせても、恐らく認知症は改善しません。デュアルタスクトレーニングなども効果的だとは思いますが、それに加えて低下している力へのピンポイントなリハビリが必要だと考えています。

 

私は彼女に対して徹底的に評価を行い、彼女の生活歴や癖から鍛えるべき力をピックアップ、その部分にひたすらアプローチを続けました。

 

開始から約半年…

 

本日彼女から「最近物忘れが減った気がする」という言葉を頂きました。私にとっては最高に嬉しい言葉です。実際に改善されているのかの評価は難しいですし、あくまで主観的な話になりますが、本人が実感することが最も大切なことです。まだまだリハビリで改善できる点があると思いますが、年齢の関係上少しずつ脳機能が低下してしまうことは免れません。

 

私が現在訪問リハビリで認知症へ直接アプローチする機会を頂いている利用者さんは彼女だけですが、認知症に関しての勉強を続け、少しでもリハビリによって認知症症状の予防や改善できる人を増やすことができればと思います。

 

最近出たアルツハイマー認知症の薬「レカネマブ」

 

これとリハビリ(適切な脳トレ+運動)を合わせれば効果間違いなし。