南の小言

100年健康を作るPTの日常

異時点間選択における時間割引

今日は祝日でしたがリハビリが6件ありました。祝日でもリハビリを休まずに実施してくれる利用者さんには感謝しなければいけません。まだ2月前半ですが、利用者さんの体調不良や身内のご不幸などが重なっており、思うように件数が伸びていません。2件の特指示によりなんとかなっていますが、そろそろ新規依頼が欲しい頃です…

皆さんは異時点間選択という言葉をご存知ですか?

 

異時点間選択とは、すぐに貰える利益ほど価値を大きく感じ、貰える時間が遅くなるほど価値が減少するという行動経済学・神経経済学のロジックです。例えば、喫煙者は将来癌に罹患するリスクを減らすより、今のタバコを吸う小さな快楽を選びます。また、目の前の一個のドーナツが10年後に100個になると言われても、大半の人は目の前の1個のドーナツを選びます。人は「確かに、すぐに」貰えるほど大きな価値を感じます。このように【将来貰える大きな報酬よりもすぐに貰える小さな報酬を選ぶ】というのが人間の【普通】ということです。

 

つまり、私たちスモールジムの目標である【健康寿命の延伸】を叶えるには、人間の本来の考え方や普通を覆す必要があるということです。

 

目先の誘惑が無限に存在する世の中で、【将来貰える大きな報酬にフォーカスする脳】を養っていかなければなりません。

 

社会経済研究所准教授の田中さんは「時間割引が自己統制度に繋がる」と話しています。時間割引とは、ある物や成果が貰えるまでに時間がかかる場合、時間と共にその価値は減少(割引)されてしまうという考え方です。すぐに貰えないと嬉しくないという状況に陥ってしまい、目先の小さな利益を選択してしまうのです。この時間割引に上手く対応していくことが、自己統制度向上(我慢できる人)に繋がるということです。

 

私は、時間割引に上手く対応するためには、段階的な目標の設定が必要不可欠だと考えます。

 

スモールジムの会員さんや入会を検討している人に対して「健康寿命を延ばすために頑張りましょう!」と言ってもなかなか響きません。なぜなら、目標を叶えるには多大な時間が必要であり時間割引が発生してしまうからです。そんな目標一つでは、目先の小さな利益を選択し続けてしまい、結果健康寿命延伸から遠ざかってしまいます。

 

医療界隈ではよく長期目標と短期目標を設定しますが、細かい短期目標の設定が【将来貰える大きな報酬にフォーカスする脳】を養うポイントになると考えています。

 

長距離走という考え方ではなく、短距離走の繰り返しという考え方の方が時間割引が発生しないと思います。

 

トレーナーのコーチングスキルが試されます。